近年、歯並びを整えることで見た目の印象を良くし、自信を持ちたいと考える人が増えています。
そのため、矯正治療への関心は年々高まっています。
一方で、矯正治療は歯周病と密接な関係があり、歯周病の状態によっては治療の進め方や注意点が大きく変わることもあります。
今回は、そんな矯正治療が歯周病に与える影響や、歯周病を悪化させないための治療の工夫について詳しく解説しています。歯並びを整えると同時に歯周病のリスクも抑えたい方は、ぜひ参考にしてください。
矯正治療と歯周病治療の関係
矯正歯科治療は、歯並びや噛み合わせを整えることで、見た目だけでなく口腔内全体の健康をサポートする治療です。
しかし、この治療を始める前には歯周病の有無を確認することがとても重要です。
歯周病は、歯ぐきや歯を支える骨が細菌によって炎症を起こし、進行すると歯を失う原因にもなります。
歯周病の状態で矯正治療を行うと、歯が動きにくくなったり、歯ぐきが下がったりするリスクが高まってしまうことが考えられます。
そのため、矯正治療を安全に進めるためには、まず歯周病の検査と治療を行い、口腔内の状態を整えておくことが必要です。
歯周病があっても矯正治療自体は可能
前提として、歯周病があっても、それほど進行していない場合は適切な治療計画と患者の協力があれば矯正治療を受けることは可能です。
ただし、歯周病と矯正治療を並行する場合には、いくつかの注意点があります。
歯周病のコントロール
矯正治療を始める前には、歯周病の状態を安定させておくことが大切です。
歯茎の炎症や腫れを改善するため、丁寧な歯磨きの実践や歯科医院での定期的なクリーニングが欠かせません。
口腔内を健康な状態に保つことで、矯正治療の効果を最大限に引き出すことができますので、まずは歯科医員でクリーニングを受けてみることをおすすめします。
矯正治療の計画
歯周病が進行していると、歯が予想外の動きをする可能性があるため、治療計画には慎重な検討が必要です。
まずは歯周病の治療を優先し、歯ぐきの状態が落ち着いてから矯正治療を行うのが一般的です。
治療内容には、歯列の異常な動きを補正する方法や、患者の状態・希望に応じた治療期間や進め方の検討が含まれます。
歯周病治療と矯正治療の同時進行
歯科医師によっては、歯周病治療と矯正治療を同時に進めることもあります。
この場合は、歯茎の炎症を抑えることに重点を置きながら矯正を行い、口腔内の環境を整えます。
歯周治療を並行することで、歯の移動がスムーズになり、矯正効果が高まるとされています。
矯正治療後のメンテナンス
矯正治療が終了したあとも、歯周病の再発を防ぐために定期的なケアが必要です。
歯並びを長く安定させるためには、口腔検診の継続やプラークコントロール、歯周ポケットのチェックが欠かせません。
また、保定装置の使用と調整を怠らないことも重要です。
矯正治療に影響が出ることも
矯正治療によって歯周病が悪化するリスクがある一方で、歯周病が矯正治療にさまざまな影響を及ぼすことも考えられます。
以下では、その主な影響について説明します。
歯の移動によって炎症が広がるリスクがある
矯正治療中は歯に力が加わるため、歯肉に一時的な炎症や出血が見られることがあります。
もしも歯周病が進行している状態で矯正治療を始めると、炎症がさらに悪化し、歯茎の状態が不安定になる可能性があるため、注意が必要です。
歯周組織の破壊によって歯が動きすぎてしまう
歯周病が進行すると、歯を支える骨や歯周組織が損なわれ、歯の安定性が低下します。
その状態で矯正治療を行うと、歯が意図しない方向へ動いたり、ぐらついたりするリスクが高まり、歯並びが安定しにくくなります。
治療結果が思うように得られない可能性がある
歯周病によって歯の支持組織が失われると、歯を理想的な位置に移動させることが難しくなります。
場合によっては、治療後に歯の脱落リスクが残ることもあるため、期待した仕上がりを得るのが困難になるケースもあります。
矯正治療中も歯周病の管理を続ける必要がある
矯正治療を始める前に歯周病の状態を正確に把握し、可能な限り炎症を抑えることが大切です。
また、治療中も定期的な歯科検診やクリーニング、丁寧なブラッシングを継続することで、歯周病の悪化を防ぐことが求められます。
双方が影響を及ぼすポイントと対策
矯正治療と歯周病は、お互いにさまざまな影響を与えることがあります。
特に、歯の位置を変えることで、歯周組織に軽い炎症が起こる場合があるため、すでに歯周病を患っている場合は炎症が広がりやすく、予期せぬ問題が生じる可能性があります。
歯周病がある場合は、以下のポイントに注意が必要です。
歯周病の進行度合いの確認
矯正治療前にレントゲン検査などで歯周病の進行度を正確に診断します。
軽度の歯周病であれば、矯正治療は可能です。
まずはご自身の歯周病の度合いを知るための検査を受けるようにしましょう。
歯周病治療との併用
歯周病が軽度の場合は、歯周病の進行を抑えながら矯正治療を同時に行うことが可能です。
両方の治療を並行して進めることで、双方のリスクを軽減できる可能性があります。
専門医との連携が重要
歯周病専門医と矯正専門医が連携し、患者に最適な治療計画を立てることで、安全で効果的な治療が可能になります。
患者様の協力
適切なブラッシングや口腔ケアの習慣づけ、定期的な通院など、患者自身の協力が矯正治療の成功に欠かせません。