
歯周病は年齢に関係なく誰にでも起こり得る疾患であり、気づかないうちに進行してしまうことも珍しくありません。
歯茎の腫れや出血があっても、「疲れているだけ」「そのうち治るだろう」と見過ごしてしまう人は多いものです。
しかし、歯周病は放置すればするほど、歯を支える組織をじわじわと壊していきます。
最悪の場合、歯が自然に抜け落ちてしまうこともあるため、早めの対策が大切です。
今回は、そんな歯周病の予防に関して、効果的な方法を紹介していきます。
無理なく続けられる工夫を取り入れて、いつまでも自分の歯で食事を楽しめる未来を目指しましょう。
細菌感染による炎症を引き起こす歯周病
歯周病は、口腔内に存在する細菌が引き起こす慢性的な炎症であり、歯茎の腫れから始まり、やがて歯を支える骨にまで影響を及ぼします。
進行状況によって「歯肉炎」や「歯周炎」と診断されるこの病気は、歯垢と呼ばれる細菌のかたまりが原因で発症します。
歯垢はバイオフィルムという粘着性の膜を形成し、歯の表面にしつこく付着する性質があります。
なお、厚生労働省が公表した調査では、歯周病によって歯を失う人は15歳未満の若年層にも存在しており、40代前半では約4人に1人、55歳以上では半数近くにのぼることが明らかになっています。
このことからも、歯周病が年齢に関係なく深刻な影響を与える病気であることが分かります。
そんな歯周病の進行を食い止めるためには、毎日の歯磨きで歯垢をしっかり取り除くことが欠かせません。
自分では落としきれない歯石については、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが有効です。
日々の積み重ねによって、歯周病のリスクは大きく下げられます。
歯周病を防ぐために、日常生活で意識したい5つのこと
年齢を問わず、多くの人が悩まされる歯周病は、知らず知らずのうちに進行してしまうことが少なくありません。
現代の日本では、歯周病は国民病の一つとして我々の健康維持の課題ともされています。
そんな歯周病の進行を防ぐには、原因となる歯垢(プラーク)の蓄積を抑えることが第一です。
以下では、今日からでも実践できる予防法を5つご紹介します。
歯垢を残さない丁寧な歯磨きを毎日の習慣にする
歯周病の一番の予防策は、日々のブラッシングです。
プラークは歯と歯茎の間に潜みやすいため、歯の表面だけでなく、歯周ポケットを意識して磨く必要があります。
歯ブラシは歯ぐきの境目に斜め45度であて、細かく優しい力で動かしましょう。
セルフケアのためのグッズにも注目
歯間のケアには歯間ブラシやデンタルフロスも有効です。
さらに、ケアのための道具選びもポイントです。
お口のサイズに合わせてヘッドの小さな歯ブラシや、適度な硬さで弾力のある毛先を選ぶと、歯垢を効率よく取り除けます。
歯ブラシやケア用品は、1ヶ月を目安に交換して衛生的にも良い状態を維持しましょう。
正しいブラッシングを意識しましょう
歯磨き粉に含まれる殺菌成分や抗炎症作用も、補助的な効果を発揮しますが、最も重要なのはやはりブラッシングの技術です。
プラークをしっかり除去することで、軽度の炎症であれば自宅ケアで改善が期待できます。
歯科医院で定期的に歯石を取り除く
毎日の歯磨きでは届かない部分に残ったプラークは、やがて硬い歯石となって歯の表面にこびりつきます。
歯石はブラッシングでは落とせないため、歯科医院でのクリーニングが欠かせません。
定期的な通院によって、歯周病の早期発見・早期治療が可能になります。
治療の負担が少なく済むだけでなく、予防意識の維持にもつながるでしょう。
喫煙を控えて、口腔環境の悪化を防ぐ
タバコに含まれるニコチンは、歯周病菌の活動を活発にし、歯茎の血流を妨げて免疫力を低下させます。
喫煙者は歯周病の進行が早く、さらに歯ぐきの色の変化やヤニの付着によって症状に気づきにくいというリスクもあります。
禁煙することは、歯茎だけでなく体全体の健康にも大きくプラスになります。
免疫力を整える生活習慣を意識する
歯周病は細菌感染によって引き起こされますが、免疫力が低下していると、菌に対する抵抗力も弱まり、症状が進行しやすくなります。
バランスの取れた食事を心がけ、特にビタミンCやビタミンEを含む食品を積極的に取り入れましょう。
また、糖質の過剰摂取やだらだらとした間食はプラークの増加を招きます。
さらに、十分な睡眠を確保し、ストレスを溜め込まない生活も免疫機能を高める鍵となります。
強いストレスが歯ぎしりや食いしばりにつながると、歯や歯茎に過剰な負担がかかり、歯周病の進行を助長する恐れがありますので注意しましょう。
体全体の健康と口の中はつながっていると意識する
歯周病は口の中だけの問題ではなく、糖尿病や動脈硬化、誤嚥性肺炎など、全身の病気とも密接に関係しています。
歯周病菌が血管に入り込むと、インスリンの働きを妨げて血糖値を上げ、糖尿病を悪化させるリスクが指摘されています。
肥満や骨粗しょう症との関連性も報告されており、健康な体づくりを意識することが、結果的に歯周病の予防にもつながります。
歯周病を防ぐには、毎日の小さな積み重ねが大きな差を生む

歯周病は、放っておくと歯を失う原因にもなる深刻な病気ですが、予防のためにできることはたくさんあります。
歯磨きの方法を見直したり、生活習慣を整えたりと、できることから少しずつ始めることが大切です。
当院では、患者さま一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。
歯茎の腫れや出血、歯周病予防に関心がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
スタッフ一同、皆さまのお口の健康を全力でサポートいたします。